「夏の暑い日差しから、なんとかお肌を守ったわ。もう紫外線対策は必要ないわね。」
本当にそうでしょうか?
この記事では、紫外線対策は一年中必要であることをお伝えし、UVAやUVBと肌トラブルの関係についてお話していきます。
紫外線対策は一年中必要です
夏が終わって日差しが弱くなってくると、紫外線対策をひとまず終えて、また春先になると紫外線対策を始める。そんな人も多いのではないでしょうか。
しかし、冬には紫外線対策は必要ないのでしょうか?
●冬でも紫外線対策が必要です
「日差しが弱くなると、紫外線量もグンと減るでしょう。対策なんて必要ないでしょ?」
いえいえ。そう思って油断していると、かえって冬の紫外線の方が影響が大きくなるかもしれませんよ。
①冬の方がかえって多くの紫外線を浴びているかも
まず、紫外線の量についてですが、もちろん、日差しが弱まると紫外線量も減ります。
ただし、紫外線の種類によっては、さほど少なくならないものもあります。
夏と同じ時間だけ日光を浴びているのであれば、冬に浴びる紫外線量はグンと少なくなりますが、日差しが弱い分安心して長時間日光を浴びていると、結局は夏と同じくらいの放射線量を浴びてしまう可能性があります。
特に、夏はしっかり紫外線対策しているのに、冬はまったく紫外線対策しないという場合は、むしろ冬の方が多くの紫外線を浴びてしまうことになりかねません。
②冬の肌は紫外線の影響を受けやすい
紫外線の量以外にも、実は紫外線の影響の受け方も季節により変わってきます。
夏の日焼けした肌に比べて、冬の白くなった肌は紫外線の影響を受けやすくなります。また、冬の乾燥肌により、紫外線の影響を受けやすくなります。
このように、冬は冬で紫外線の影響を受けやすい要因がいくつもあります。
肌をしっかり保湿したり、UVカットを心がけて、冬にも紫外線の影響を少なくする努力が必要です。
紫外線対策UVA・UVBとは?
●紫外線とは?
紫外線、紫外線と言いますが、そもそも紫外線って何でしょう?
紫外線は、太陽から降り注がれる光線のうちの一つです。
私たちの目に見える光(可視光線)やコタツなどで使われる赤外線よりも、波長の短い光線です。
また、身体の測定に用いられるガンマ線やX線よりも波長が長い光線です。
ガンマ線やX線など、波長の短い光線ほど人体への影響が大きくなりますが、通常はオゾン層で遮られて、地上には届きません。
紫外線にはA波(UVA)、B波(UVB)、C波(UVC)という3種類の波がありますが、UVCは波長が短いためオゾン層に阻まれ、地上に降り注ぐのはUVAとUVBの2種類の紫外線となります。
●UVB
「日に当たると肌が赤く焼ける」というのは、このUVBの仕業です。
UVBはエネルギーが強いため、肌表面の細胞にダメージを与えたり、炎症を起こしたりします。皮膚ガンやシミを引き起こす可能性があります。
直接日光に当たらないようにすることで、ある程度防ぐことができます。
UVBの量は季節により大きく変動します。春先から増えはじめ、夏に最大量になります。春や秋は夏の約半分、冬は夏の1/5程度になります。
●UVA
UVAは、UVBのような肌の急激な変化を引き起こしませんが、肌の奥底まで侵入し、じわじわと影響を及ぼします。
UVAは、シワやたるみの原因となるほか、さまざまな悪影響に関係しています。
地上に降り注ぐ紫外線のうち約95%はUVAで、UVBの約20倍の量のUVAが降り注いでいます。
UVAの量も季節により変動しますが、UVBほど大きな変動ではありません。
UVAが最も多くなるのは5月頃、最も少なくなるのは12月頃です。ただし、12月でも5月の半分ほどの量があります。
雲を突き抜け、ガラスを突き抜け進むので、曇の日や家の中でさえ注意が必要です。
紫外線対策と肌トラブル
●UVBによる肌トラブル
UVBは肌に直接的に作用します。
日に当たって短時間のうちに肌が赤くなるのはサンバーンと呼ばれます。これは、日焼けにより肌が炎症を起こす反応です。
また、日に当たってから数日後に肌が黒くなるのはサンタンと呼ばれます。これは、日焼けによる色素沈着の反応です。
人間の表皮の下にはメラノサイト(メラニン色素産生細胞)という細胞があります。紫外線の刺激により、この細胞は指示を受けてメラニン色素を生成します。
生成されたメラニン色素は、表皮細胞に伝達されて皮膚に広がり、皮膚のメラニン色素が紫外線を吸収して肌を守ろうとします。
そこにUVAが当たると、メラニン色素が酸化して肌を黒くさせます。
強い紫外線を浴びると、メラニン色素は過剰に生成されるため、シミ・ソバカスの原因となります。
このようにUVBは、肌の炎症やシミなどの原因となりますが、さらに皮膚ガンを引き起こす原因にもなります。
波長の短いUVBは、表皮細胞やその中のDNAにダメージを与え、ガンを発生させる可能性があるのです。
●UVAによる肌トラブル
UVAはUVBに比べて波長が長いため、表皮の下の真皮まで奥深く到達します。
そのため、真皮にあるコラーゲンを変質させ、シワやたるみの原因となる可能性があります。
また、体内の免疫機能は、UVBによりダメージを受けた細胞を修復したり、ガン化した細胞を殺傷したりという機能を持っているのですが、UVAがこのような免疫機能を妨げるという影響があります。
このようにUVAは、結果としてガンの広がりを促進したり、シミ・ソバカスなどの色素沈着を起こしたりと、間接的に肌トラブルを作り出す原因ともなっています。
●UVB対策
日焼け止めクリームなどに「SPF」という表示があります。これがUVBを防ぐための指標です。
SPF(Sun Protection Factor)は、「紫外線防御効果」という意味ですが、紫外線の中でも特にサンバーンの原因となるUVBを防ぐための指標です。
SPF50+(SPF51以上)が最大で、数字が大きいほどUVBを防ぐ効果が高くなっています。
日焼け止め製品を適切に使用するほか、日傘や帽子・手袋などにより日光が直接当たるのを防ぐことがUVBを防ぐ対策となります。
●UVA対策
SPFがUVBを防ぐための指標であるのに対し、「PA」がUVAを防ぐための指標です。
PA(Protection Grade of UVA)は、「UVA防御指数」という意味です。
「PA+」~「PA++++」の4段階で、+の数が多いほどUVAを防ぐ効果が高くなっています。
UVA対策の注意点は、日当たりの良い時・場所だけでなく、曇の日や室内でも注意することです。
●その他注意
・反射光
直射日光だけでなく、反射光にも注意する必要があります。
特に、雪では最大80%、水面でも最大20%ほどの反射率があるので、とくにスキー・スノボーやマリンスポーツなどをする際には、注意する必要があります。
・紫外線防止用製品の選び方(SPF、PA値など)
以下のホームページには、生活シーンに合わせた紫外線防止用化粧品の選び方が記述されていますので、参考にしてください。
↓
日本化粧品工業連合会のホームページ
まとめ
紫外線対策としては、UVBばかりに気が取られがちかもしれません。しかし、UVA対策をしっかり取ることにより、万全な紫外線対策ができます。
効果的な紫外線対策により、健康と美容を維持していただければと思います。